実写系AI動画生成の最前線であるKling 3.0を、実際の制作で使い込んだ視点から解説します。作り方そのものが変わりつつあります。
実写系のAI動画生成において、現時点で最高水準の性能を持つツールがKlingです。最新のKling 3.0で最も大きな変化は、15秒・4〜5カットの映像が1枚のスタート画像から自動生成できるようになったことです。従来のAI動画は「この画像をこう動かして」と1カット単位で指示するものでしたが、3.0では、たとえば少年がベンチでおにぎりを食べている画像を渡すと、食べるカット、人物が現れるカット、会話するカットと、連続するシーンをまとめて生成します。
さらに音声も同時に生成されます。日本語を含む多言語に対応し、リップシンクも正確で、環境音まで適切に配置されます。特筆すべきは感情表現の精度で、従来のAI音声では難しかった叫び声のような演技も、実写に耐えるレベルで表現できるようになりました。
複数の15秒動画を繋いで1本の作品にする際、最大の課題は登場人物の一貫性です。ここで威力を発揮するのがOmni機能です。キャラクターの顔・正面全身・背面全身の3面図を登録しておくと、どのシーンを生成しても同じ人物が登場します。複数キャラクターや背景画像も登録でき、選択するだけで呼び出せるため、AIドラマやAI映画の制作が技術的に成立するようになりました。ブランドキャラクターを軸にしたCM・PR動画のシリーズ展開にも直結する機能だと考えています。
Kling 3.0のカスタムマルチショット機能では、シーンごとにプロンプトを設定できます。公式ガイドをもとに私が実践で検証した結果、押さえるべき要素は5つです。シーンのタイトル、カメラを当てる対象、カメラショットの種類、対象のアクション、そして音声・音の指示。この5要素をシーンごとに書き分けると、意図した映像に大きく近づきます。なお、プロンプトは日本語がおすすめです。漢字の情報密度の高さにより、少ない文字数で詳細なニュアンスを伝えられるためです。
コスト面には注意が必要です。1回の生成(15秒×2動画)で約500円かかり、私が制作した2分半のショートドラマでは約4万円を要しました。生成結果のばらつきも残るため、狙ったカットを得るには試行回数を見込んだ予算設計が欠かせません。AI映像制作の費用構造については費用に関する解説記事でも詳しくまとめています。それでも、音声・演技・カメラワークまで含めた映像が15秒単位で生成できる現在の水準は、AIだけで劇場公開レベルの作品が視野に入る段階だと実感しています。