褒められた作品でも、届く相手がいなければ成果にはつながりません。自社の企画を見直した経験から、発注前に考えたいターゲット設計の話をします。
以前、交流のあるアニメのプロデューサーの方に、私たちが制作したアニメ作品を見ていただいたことがあります。評価はとても高く、嬉しい言葉もいただきました。しかしその後のフィードバックで指摘されたのは、クオリティではなく「この作品は誰向けなのかが分からない」という一点でした。見た目は小中学生向けに見えるのに、中身は大人が考えさせられるハートウォーミング系。ターゲットがぼやけていたのです。
これは発注側の立場に置き換えると、とても重要な示唆だと思います。映像のクオリティが高いことと、狙った相手に届くことは別の話です。社内で「かっこいい」「感動した」と褒められた動画が、肝心の見込み客にはまったく刺さらない、ということは実際に起こります。
この作品は連載化を目指してチームで本格的に動いていましたが、指摘を受けて改めて配信先の市場を徹底的に調べ直しました。結論は厳しいもので、この作品が刺さる層は見当たらない。テレビアニメを好む層と、動画プラットフォームでアニメを見る層は、そもそも別の視聴者だったのです。私たちは潔く方向転換を決め、需要が確認されているジャンルを先に選び、そこから企画や設定を逆算して組み立て直しました。順番を変えただけで、見通しは格段に立てやすくなりました。
新しい市場を作品の力だけで切り開くのは、どの分野でも成功率の低い賭けです。すでに需要があると分かっている場所に、狙いを定めて届ける。当たり前のようでいて、作り手は「作りたいもの」を優先してつい見失いがちな原則です。実際、407作品の中から最優秀賞をいただいた受賞作も、コンテストの趣旨から「誰向けか」を逆算して作ったからこそ結果が出たのだと振り返っています。
AI映像の制作をご検討中の方にお願いしたいのは、難しい仕様ではなく「この動画を誰に見せたいのか」を一言で言えるようにしておくことです。新規顧客なのか既存顧客なのか、経営層なのか現場担当者なのか。それが決まれば、配信先・尺・トーン・表現手法はすべて逆算で決められます。逆にそこが曖昧なまま走り出すと、どれだけ映像が美しくても成果の出ない動画になりかねません。
当社では企業CMやPR動画、SNS広告の制作の際、最初のヒアリングで必ずターゲットと配信先から伺い、そこに合わせて企画をご提案しています。まだターゲットが固まっていない段階でも、市場の状況を踏まえて一緒に整理するところからお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。依頼先の比較検討中の方は、AI動画制作会社の選び方も参考になるはずです。